「解体費用って高そう。相場が知りたい。」
「建物を壊さないほうがいいって聞いたんだけど、ほんと?」
空き家などの不動産を処分したいけど、解体費用や解体することに不安を感じているのではないでしょうか?
建物の解体費用は売却するときにかかる費用の中でも最も高額です。
こちらの記事では、空き家などの建物の解体費用の相場や費用を抑えるコツ、解体することのメリットやデメリットを解説します。
この記事を読んでいただくと、こんなことが分かります。
・建物の解体費用の相場
・解体費用が高額になるケース
・解体費用を抑えるコツ
・建物を解体するメリット・デメリット
・解体するときの注意点
目次
■空き家などの建物の解体費用の相場とは・
■建物の解体費用が高額になるケース
・敷地内に庭石や池、たくさんの樹木がある
・敷地いっぱいに建物が建っている
・建物の前の道路条件が悪い
・自然災害で壊れた建物や火災で焼けた建物
・アスベストが利用されている
・地中に埋設物がある
■建物の解体費用を抑えるコツとは?
・複数社へ見積もりを取る
・補助金制度を利用する
■建物を解体するメリット・デメリット
・建物を解体するメリット
・建物を解体するデメリット
■建物を解体するときの注意点
■まとめ
空き家などの建物の解体費用の相場とは?
空き家などの建物の解体費用は解体する建物の規模や構造で異なります。
一般的に、木造<鉄骨造<RC造の順で解体費用は高くなります。
例えば、建坪30坪程度の木造住宅の場合は120万円~180万円ほどですが、鉄骨造であれば180万円~240万円ほど、RC造(鉄筋コンクリート造)であれば210万円~270万円ほどです。
このように、同じ面積の建物であっても、建物の種類によって費用は大きく異なります。
▼建物 解体費用の相場/円
建築面積=建坪
(建物を真上から見た面積) |
木造
約4~6万円/坪 |
鉄骨造
約6~8万円/坪 |
RC造
約7~9万円/坪 |
20坪 | 80~120万 | 120~160万 | 140~180万 |
30坪 | 120~180万 | 180~240万 | 210~270万 |
40坪 | 160~240万 | 240~320万 | 280~360万 |
50坪 | 200~300万 | 300~400万 | 350~450万 |
60坪 | 240~360万 | 360~480万 | 420~540万 |
70坪 | 280~420万 | 420~560万 | 490~630万 |
80坪 | 320~480万 | 480~640万 | 560~720万 |
90坪 | 360~540万 | 540~720万 | 630~810万 |
100坪 | 400~600万 | 600~800万 | 700~900万 |
建物の解体費用が高額になるケース
建物の解体費用は、主に建物の規模や構造で決まります。
ただし、場合によっては他の理由で解体費用が高額になるケースもあります。
主に以下の6つのケースがあります。
・敷地内に庭石や池、たくさんの樹木がある
・敷地いっぱいに建物が建っている
・建物の前の道路条件が悪い
・自然災害で壊れた建物や火災で焼けた建物
・アスベストが利用されている
・地中に埋設物がある
・建物の構造が鉄筋コンクリート造(RC造)
敷地内に庭石や池、たくさんの樹木がある
広い敷地内に庭石や池、大量の樹木がある場合、撤去費用が別途必要になり、解体費用の総額が高くなります。
また、土地の外回りのブロック塀や土留めなどを撤去する費用も建物の解体費用とは別で負担が必要です。
業者に見積もりを依頼する場合は、提示された見積書が「敷地内の全ての構造物が撤去され、更地の状態にするための費用」の見積もりか、確認することが大切です。
敷地いっぱいに建物が建っている
敷地に重機を搬入するスペースがない場合は、家屋の一部(または全部)を手作業で解体した後に、重機を入れて残りの部分を解体・撤去するという方法が取られます。
この場合、人件費が増えてしまうため、はじめから重機で解体する場合よりも費用が高くなります。
また、道路に重機を停めて解体作業を進めるには、警備員を配置したり、道路使用許可を取ったりする必要もあり、余計に費用がかかることとなります。
建物の前の道路条件が悪い
重機やダンプカーが侵入できないような狭い道路沿いの建物を解体する場合や、商店街のようなアーケードつきの道路沿いの建物を解体する場合、費用が高くなります。
手作業での工程が増えてしまい、人件費が上がるからです。
また、解体現場がスクールゾーンに近い場合や、近隣に家が密集している場合は、警備員を配置する費用や防音対策などの費用も必要となります。
自然災害で壊れた建物や火災で焼けた建物
地震や台風などの自然災害、火災の被害を受けた建物の解体は下記のような理由から、解体費用が高くなります。
・解体作業中に家屋が倒壊する危険性がある=通常よりも慎重さが求められる
・廃材が広範囲に飛散している=廃材の回収・分別に手間がかかる
工期が長くなり、人件費が増え、通常の解体工事と比べて費用が高くなることが考えられます。
アスベストが使用されている
現在、アスベスト(石綿)は健康被害をもたらすものとして全面的に使用が禁止されています。
ですが、ひと昔前の建物(特に1980年代以前)には広く使用されて、アスベストが使用されている建物の場合は除去費用が別途必要になります。
アスベストの使用量によっては建物全体を覆って減圧処理を行う必要があるなど、大掛かりな作業を必要とし、除去費用も高額になってしまいます。
万が一適切な処理が行われなかった場合は、周辺住民への健康に影響を及ぼすだけでなく、法的な責任を問われる可能性もあります。
費用はかかってしまいますが、空き家の解体時にはアスベストの有無を事前に調べるなど、安全対策を怠らないことが重要です。
地中に埋設物がある
地中に埋設物があると、その撤去費用が別途必要になります。
埋設物は、地盤改良のために埋設された木やコンクリートの杭や、以前にあった建物の廃材が埋められているなど、様々です。
特に鉄筋コンクリート造の建物は、木造住宅よりも建物の重量が重いため、コンクリートの杭が地中に埋設されているケースが多く、売却するときにはどのように対処するか、注意が必要です。
建物の構造が鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造の建物の場合、解体費は木造住宅と比べて高額になります。
木造<鉄骨造<RC造の順で高くなる理由は、以下の2つです。
・強固な造りになっている=木造よりも解体に手間がかかる
・木造よりも廃材が多く出る=その処分費用が高くなる
また、鉄筋コンクリート造の建物の基礎は木造よりも強固にできており、
基礎を撤去するときに地震のようなレベルの振動が生じます。
「解体の振動で外壁に亀裂ができた」など、近隣の住宅とトラブルになることがあるため、
解体作業前に近隣の住宅の家屋調査を行うことがあります。
家屋調査を行うことで、解体作業前と作業後の状態を比べて、解体作業に原因があるのか明確にするための調査です。
この家屋調査費用も追加になるため、さらに木造よりも割高になります。
建物の解体費用を抑えるコツとは?
空き家の解体費用を安く抑えるためには、どのような点に気をつけたら良いでしょうか?
空き家の解体費用を抑えるコツとして、以下の2つの方法をおすすめします。
複数社へ見積もりを取る
空き家の解体費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。
業者や使用する機材・重機などによって工事価格は変動します。
異なる業者に見積もりを依頼することで、料金の差を比較することができます。
複数の業者へ連絡しなくてはならないため多少手間はかかりますが、解体費用を抑えるためにはとても重要です。
また数ある解体業者の中から、より安価で解体を請け負ってもらえる業者を選定するためには、解体現場(空き家の所在地)と事業所の距離が近い業者を選ぶ事がポイントです。
一般的に、現場との距離が近いほど、トラックや重機の移動にかかるコストが減少するため、結果的に費用が安くなる可能性が高くなります。
なおかつ、工期も予定通りに進めることができます。
このためできるだけ近隣の解体業者をいくつかピックアップし、それらの業者に見積もり依頼をするという流れがおすすめです。
補助金制度を利用する
コストを抑える上で最もおすすめなのは、各市町村に設けられている補助金制度を利用する方法です。
適用されれば最大で50万円~100万円ほども還付される仕組みとなっており、空き家の解体費用を大幅に抑えることができます。
そんな補助金制度は市町村によって内容が異なります。
制度を利用するあたり、はじめに「空き家の所在地」の市町村が、実際にどのような補助金制度を設けているのかを確認してみましょう。
残念ながら新潟市は解体費用の補助金制度がありません。あしからず。
建物を解体するメリットとデメリット
空き家を解体すると以下のようなメリットがあります。
・特定空き家・管理不全空き家に指定されるリスクがなくなる
・管理の手間をはぶくことができる
・安全性を確保できる
一方、空き家を解体すると以下のようなデメリットもあります。
・土地の固定資産税が最大で6倍になる
・解体費用の負担がある
建物を解体するメリット
■特定空き家・管理不全空き家に指定されるリスクがなくなる
特定空き家・管理不全空き家は市町村から「周辺に悪影響を及ぼす空き家」だと指定された空き家のことです。
特定(管理不全)空き家に指定されると、土地の固定資産税が最大で6分の1になることもあります。
国は管理されていない空き家の数を減らしたいという理由で、平成26年に「空き家等対策特別措置法」という法律が施行し、市町村は法律にもとづいて以下のような空き家を「特定空き家」に指定することができるようになりました。
・著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
具体的には、
・建物が傾いていて、倒壊の可能性がある
・屋根や外壁、看板、コンクリート塀などが破損しており、落下の可能性がある
・建物や敷地内に落書きや立ち木の繁殖、ごみの散乱など、周囲の景観を損ねる部分がある
・立ち木が近隣へ散乱、動物の糞尿の臭気、不審者が侵入している
などが挙げられます。
また、「管理不全空き家」とは適切な管理がされていない空き家の中で、放置すると特定空き家になる可能性がある空き家のことを指します。
建物を解体し、更地の状態にすることで、特定空き家・管理不全空き家に指定されてしまうリスクを回避できます。
■管理の手間をはぶくことができる
空き家には固定資産税の負担以外にも管理する義務があります。
例えば、月に一度の頻度で換気をして建物内に湿気がたまらないように対応したり、雨漏りや水漏れがないか確認し、不具合箇所を修繕したり、管理作業は広い範囲に及びます。
遠方にお住まいであったり、忙しくて時間を作れない所有者にとって大きな負担になりますが、建物を解体することで管理面の負担を大きく軽減できます。
■安全性を確保できる
空き家は放置すると急速に劣化します。
その結果、屋根や外壁の落下で第三者にけがをさせ、損害賠償の義務を負ったり、不法侵入や空き巣などの犯罪の被害を受けたり、近隣住民とトラブルになることもあります。
建物を解体することで、これらのリスクを排除することができます。
建物を解体するデメリット
■土地の固定資産税が最大で6倍になる
土地の固定資産税はその土地が住宅用地として利用されていると、更地の状態よりも低くなっています。
住宅用地特例という軽減措置が適用されているからです。
住宅用地特例が適用されている土地は土地の固定資産税が最大で6分の1になっています。
建物を解体すると、その翌年から住宅用地特例が解除され、固定資産税が高くなってしまいます。
■解体費用の負担がある
当然ですが、高額な解体費用の負担があります。
建物の規模や構造によって負担は変わりますが、高額になることは間違いありません。
また、地中埋設物やアスベストの含有があるケースでは、さらに費用が高額になります。
建物を解体するときの注意点
建物の解体工事には非常に高額な費用がかかります。
建物の保全状況が悪く、近隣住民へ配慮して解体することもありますが、
できれば「負動産ではないか、確認」してから解体工事をするか、判断してください。
「負動産」とは資産価値が低く、所有しているだけで損をしてしまう不動産のことです。
以下のような特徴があります。
・売りたいと思っても買いたい人がいない(需要がない)
・貸したいと思っても借りたい人がいない(収益性がない)
・維持管理するのに費用や手間がかかる(管理する手間や固定資産税の負担がある)
負動産の中には、「再建築不可」の土地や車が入れないせまい小路に所在する古家があります。
再建築不可の土地とは住宅を新築できない土地です。
土地には「建築基準法上の道路に2m以上接していないと建物を建築できない」というルールがあり、住宅を新築できない土地を再建築不可の土地と言います。
再建築不可の土地は既存の建物を利用した売却方法が必須の条件です。
建物を解体してしまうと利用価値が無くなってしまうからです。
また、地価が低い地域では、建物の解体費用を土地の売買代金で回収できないことが多く、こちらも中古住宅として売却することが必須です。
ご自身の不動産が「負動産」に当てはまらないか、前もって不動産会社へ確認したうえで解体するようにしてください。
取り返しがつかない状況になってしまうかもしれません。
まとめ
空き家の解体費用は、解体する家屋の規模や構造などによって変動します。
木造住宅の解体費用は30坪で120万~180万円程度が一般的ですが、鉄骨造やRC造は木造と比べて1.5倍~2倍程度の費用となります。
複数の業者に見積を依頼して、より条件の良い業者へ依頼することがおすすめです。
空き家を解体することにはメリット・デメリットがそれぞれありますが、解体する前に負動産化する可能性がないか、必ず確認してから判断してください。
また、不動産を売却するとき、測量以外にも様々な費用がかかります。
以下のリンク先のページで詳しく解説しました。
ご興味のある人はご覧になってください。