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「遠方に住んでいて、空き家をなかなか管理することができない」

「仕事が忙しくて、管理をする時間を作ることが難しい」

日々の生活の忙しさやお住まいの地域によっては空き家を管理する時間がとれなかったり、空き家を管理するのも大変ですよね。

ただ、空き家を放置すると金銭面の負担が増えてしまうことをご存じでしょうか?

固定資産税が増えてしまったり、いざ売却しようと思っても売るに売れないなど、空き家を放置すると思わぬ落とし穴があります。こちらの記事では、空き家を放置すると生じる問題や、その解決方法について解説しました。

 

この記事を読んでいただくと、こんなことが分かります。

・空き家を放置すると生じる5つのリスクとデメリットが何なのか?

・リスクとデメリットの解決策とは?

 

目次

■空き家を放置することで空き家を放置することで生じる5つのリスク・デメリット

・特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大で6倍になる

・売却するときの税金の特別控除の特例が利用できなくなる

・資産価値が下がり続け、安価に手放すことになってしまう

・近隣とのトラブルになったり、損害賠償の義務を負う

・空き巣や不法侵入などの犯罪被害を受ける

■空き家を放置することで生じる5つのリスク・デメリットの解決策は?

・適切に管理する

・解体して更地にする

・売却する

・賃貸する

 

空き家を放置することで生じる5つのリスク・デメリット

空き家を放置することで生じるリスク・デメリットには以下の5つがあります。

・特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大で6倍になる

・売却するときの税金の特別控除の特例が利用できなくなる

・資産価値が下がり続け、安価に手放すことになってしまう

・近隣とのトラブルになり、損害賠償の義務を負う

・空き巣や不法侵入などの犯罪被害を受ける

 

特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大で6倍になる

特定空き家・管理不全空き家とは、市町村から「周辺地域に悪影響をおよぼす空き家」と指定された空き家のことです。

空き家所有者にとってのデメリットは、特定空き家・管理不全空き家に指定されると土地の固定資産税が最大で6倍になることです。

日本国内の空き家の数は年を追うごとに増え続けています。

2023年に実施された総務省の調査によると、全国の空き家の戸数は約900万戸、日本国内の総戸数約6500万戸に占める割合は約13.8%で過去最高の件数になりました。

私が生活する新潟市の総住宅数が約32万戸なので、全国にはその約30倍の戸数の空き家があることになります。

適切な管理がされていない空き家の影響は周辺地域の治安や景観の悪化、建物やブロック塀などの倒壊による被害など、大きな社会問題になっています。

今後も「核家族化」や「少子高齢化」は進み、空き家の数が増えていくことを考えると、空き家対策は必須で急がなくてはいけない課題と言えます。

 

国は管理されていない空き家の数を減らしたいという理由で、平成26年に「空き家等対策特別措置法」という法律が施行し、市町村は法律にもとづいて以下のような空き家を「特定空き家」に指定することができるようになりました。

 

・著しく保安上危険となるおそれのある状態

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

具体的には、

・建物が傾いていて、倒壊の可能性がある

・屋根や外壁、看板、コンクリート塀などが破損しており、落下の可能性がある

・建物や敷地内に落書きや立ち木の繁殖、ごみの散乱など、周囲の景観を損ねる部分がある

・立ち木が近隣へ散乱、動物の糞尿の臭気、不審者が侵入している

などが挙げられます。

また、「管理不全空き家」とは適切な管理がされていない空き家の中で、放置すると特定空き家になる可能性がある空き家のことを指します。

この「管理不全空き家」という言葉は令和5年に法律が改正されたことで生まれた言葉です。

それまでは特定空き家のみが固定資産税の軽減措置の解除の対象でしたが、令和5年の法律の改正で対象が広がり、空き家の所有者にとって、さらに厳しい状況になりました。

 

 

売却するときに、税金の特別控除の特例が利用できなくなる

相続した空き家や、所有者の施設への入所で空き家になった住宅を売却するとき、一定の期間内であれば売却したあとの税金を大幅に圧縮できる特別控除の特例を利用することができます。

どちらの特別控除の特例も最大の節税効果は約600万円です。

ものすごい節税効果ですね。

代表的な特別控除の特例は以下の2つです。

 

・居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例

・空き家の3000万円の特別控除の特例

 

ただし、この2つの特例はいつでも利用できるわけではありません。

いくつかの要件がありますが、その中でも重要なのが期限についての要件です。

空き家の3000万円の特別控除の特例は「相続してから3年を経過する年の年末まで」、

居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例は「転居してから3年を経過する年の年末まで」という期限の要件があります。

長い時間、空き家を放置してしまうと特別控除の特例が利用できなくなり、いざ売却したあとに高額な税金を納めることになってしまいます。

例えば、2000万円の不動産を売却した場合で考えると、

特別控除の特例を利用できる場合の税金は0円であるのに対して、特別控除の特例を利用できない場合の税金は約400万円です。

売却する時期が違うことで、ここまで大きな差が生まれます。

 

ちなみに2つの特別控除の特例の条件ですが、空き家の3000万円の特別控除の特例の要件は以下です。

 

  • 相続で取得した不動産であること

 

  • 令和9年12月31日まで、かつ相続開始日(お亡くなりになった日)から3年を経過する日の属する年の年末までの売却であること。(令和5年4月1日が相続開始日の場合、令和8年12月31日まで)

 

  • 建物付きの土地で、建物は一戸建てであり、分譲マンションなどの区分所有ではないこと。

 

  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物であり、その建物を耐震リフォームするか、もしくは建物を取り壊して更地として売却すること。

 

  • 相続開始直前まで被相続人(亡くなった人)がひとりで居住していたこと(亡くなることで空き家になったことが条件、亡くなる前の治療目的の入院や、要介護認定を受けて施設に入所したことで空き家になった場合も適用可能)、入所・相続発生後も誰も住んでおらず、空き家のままであること。(賃貸に1度出したり、誰かが住んだりすると、こちらの特例は使えません)

 

  • 売却でもらうお金(売買代金と固定資産税等の精算金の合算)が1億円以下であること。

 

です。全ての条件を満たす必要があります。

 

居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例の要件は以下です。

 

  • 所有者が自ら居住していた家屋か、その家屋の敷地や借地であること。

 

  • 居住しなくなった日から3年経過する年の年末までに譲渡すること。

 

  • 災害により消失した場合、その災害があった日から3年を経過する年の年末までに譲渡すること。

 

  • 自己都合で家屋を取り壊した場合、取り壊した日から1年以内に譲渡契約を締結していること、土地を貸していないこと、かつ居住しなくなった日から3年経過する年の年末までに譲渡すること。

 

  • セカンドハウスや別荘などの趣味・娯楽・保養などのために所有する家屋ではないこと。

 

  • 買主が売主の配偶者・直系血族・生計を一にするもの・内縁などの特殊関係者ではないこと。

 

  • 売却した年の前年・前々年に他の特別控除などの特例を受けていないこと。また、売却した年を含めて前後2年間に住宅ローン控除を受けていないこと。

 

など、このような条件があります。

 

 

 

資産価値が下がり続け、安価に手放すことになってしまう

住宅は人が住まなくなると、急速に劣化していきます。

そして急速に劣化していくと、建物の資産価値も比例して下がっていくことになります。

 

人が住んでいない空き家が劣化しやすい理由は以下の4つです。

・人の出入りがなく、湿気がこもる

・故障や不具合に気づかず、雨漏りや水漏れが起こる

・上下水道を利用しないため、給排水管がさびて詰まる

・白アリや小動物、ダニ、ねずみが住みつく

 

人の出入りがないと建物内に湿気がこもり、建材が湿気を吸収し、大量のカビが発生します。

人が住んでいれば、ドアや窓の開け閉めが頻繁にされ、室内の湿気が外に出ていく機会が頻繁にありますが、だれも住んでいない空き家では湿気が建物内にこもり続けます。

湿気がこもると、建物の木材が水分を吸い取ります。

さらにカビが大量に発生し、建物の柱などの躯体部分や壁・床・天井などの建材が痛み、老朽化がどんどん進んでいきます。

 

人が住んでいないと屋根や外壁、設備の不具合が生じても気づかないことがあります。

屋根や外壁からの雨漏り・水漏れは建物内の湿度をあげてしまうことはもちろん、建物の柱などの躯体部分を痛め、腐らせてしまうこともあります。躯体部分が腐ってしまっては将来にわたって建物を利用することはできません。

 

上下水道を利用しないと、給排水管内の水が枯れ、さびの原因になります。

さびが大量に発生すると、つまりの原因になり、最悪の場合には給排水管に穴があき、利用が困難な状態にもなりえます。

 

また、水が枯れた給排水管からハエやゴキブリ、蚊などの小さな虫が建物内に侵入し、室内に大量の死骸が発生したり、建物内に住みついたシロアリなどの害虫やハクビシンなどの小動物が躯体部分をかじり、柱や基礎の一部が欠損することも考えられます。

 

さらに、空き家の立地や道路の条件によっては売却しようと思っても買いたい人が見つからない「負動産」になってしまうこともあります。

 

「負動産」とは資産価値が低く、所有しているだけで損をしてしまう不動産のことです。

以下のような特徴があります。

 

・売りたいと思っても買いたい人がいない(需要がない)

・貸したいと思っても借りたい人がいない(収益性がない)

・維持管理するのに費用や手間がかかる(管理する手間や固定資産税の負担がある)

 

負の財産が「負動産」と呼ばれているのですが、

どのような不動産が負の財産になりやすいかというと、

 

・築年数が40年以上経過し、地価の低い地域に所在する土地と建物

・接道義務を満たしていない、または車が入れない狭い小路に所在する土地と建物

・さびれた別荘地内の土地や建物

・築年数が経過し老朽化した、空き室の目立つ分譲マンション

 

などです。

 

特に、戸建ての場合は建物の解体費用を土地の売買代金で回収できないことが多く、中古住宅として売却することが必須です。

ですが、空き家の期間が長くなると劣化が進んでいて、購入希望者を探すことが非常に難しくなります。

 

このように空き家になった当時であれば、中古住宅として売却できた不動産でも、

老朽化が進んでいくことで建物を解体して売却しなければいけなくなったり、

金額を下げて売却する必要が生じ、お手元に残せる金額の少なくなったり、

最悪の場合には売るに売れなくなることもあります。

 

近隣とのトラブルになり、損害賠償の義務を負う

建物の外壁や屋根、雨どい、ブロック塀などが破損・落下し、

第三者に被害を負わせてしまった場合、その責任は誰が負うことになるでしょうか?

誰も住んでいないのだから、誰も悪くないような気もしますが、違います。

 

その責任は空き家の所有者が負うことになります。

この責任は民法の717条に規定されており、「所有者責任(工作物責任)」と言います。

 

条文では、

「土地の工作物の設置、または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。

ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」とあります。

 

この責任の特徴は、所有者が善意無過失でも責任を負わなければいけないことです。

つまり、「忙しくて空き家の様子をしばらく確認できておらず、建物の状況が悪いことを知らなくても所有者に責任がある」という規定です。

屋根や外壁が落下して人に激突するなど、最悪の事態にならないように空き家がどのような状況なのか確認して、事前にトラブルを回避する必要があります。

「危険な箇所はないか」「事故につながりそうな箇所はないか」をしっかりと把握し、

必要な修繕をすることで、危険を回避する必要があるということです。

 

空き巣や不法侵入などの犯罪被害を受ける

空き家は敷地内に人の目がなく、草木が生い茂って外からの人の目が届きづらいため、空き巣や不法侵入などの販売の被害に遭いやすくなります。

空き家を狙った空き巣の被害は、警察庁によると統計を取り始めた2000年から4年間で約2.5倍になり、発覚している事件数だけでも8000件を超えています。

人目につきにくく、物色しやすく、被害が発覚するのに時間がかかることが空き家をねらう原因で、警察官いわく「敷地を雑草がおおっているか、郵便受けにチラシがたまっているか」で空き家を見分けているそうです。

ご相談いただくお客様の中にも空き巣の被害に遭った人が多くいらっしゃることから、私自身も身近な問題に感じています。

 

空き家を放置することで生じる5つのリスク・デメリットの解決策は?

説明してきたように、空き家を放置すると以下の5つのリスク・デメリットがあります。

・特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大で6倍になる

・売却するときの税金の特別控除の特例が利用できなくなる

・資産価値が下がり続け、安価に手放すことになってしまう

・近隣とのトラブルになり、損害賠償の義務を負う

・空き巣や不法侵入などの犯罪被害を受ける

 

全てのリスク・デメリットを回避するには早期の活用が必要になりますが、具体的にはどのような活用方法があるでしょうか?

 

適切に管理する

適切に管理することで、「固定資産税が増えてしまうこと」「資産価値が下がること」「損害賠償の義務を負うこと」を回避することができます。

しかし、空き家の管理は最低でも1か月に1度、現地を訪問するか、専門の管理業者に委託するなど、時間や費用の負担が避けられません。

空き家の近くに住んでいれば時間も費用の負担も最小限に抑えることができますが、難しい人も多くいらっしゃいます。

ご自身のご都合によっては他の方法を検討したほうが良いと思います。

また、適切に管理をしていても、空き巣などの犯罪被害を受ける可能性をゼロにすることはできません。

 

 

解体して更地にする

空き家を解体して更地にすることで、「特定(管理不全)空き家に指定されること」「損害賠償の義務を負うこと」「空き巣などの犯罪被害を受けること」を回避することができます。

ただし、建物の解体費用や建物の中の家財を処分する費用がかかります。

解体費用といえば非常に高額です。

また、更地になってしまうことで、特定(管理不全)空き家に指定されていなくても固定資産税が最大6倍になってしまうこともネックです。

土地の固定資産税は土地の上に住宅があることで最大で6分の1に軽減されています。

この措置を住宅用地特例といいますが、建物を解体すると住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大で6倍になってしまいます。

増えてしまった固定資産税の負担を減らすためにも、更地にする場合には月ぎめ駐車場として貸し出し、その賃料収入から負担するなど、計画的に話を進めることをお勧めします。

 

売却する

売却することで5つのリスク・デメリットをすべて解決することができます。

管理をするための時間や費用、固定資産税の負担がなくなり、建物が劣化する前に適正価格で売却でき、近隣とのトラブルが起こることもなくなります。

また、2つの3000万円の特別控除の特例を利用できれば、お手元に残せる金額も大幅に増やせ、売却するときの費用面の負担を大きく減らすこともできます。

 

 

賃貸する

賃貸物件として貸し出すことでも、ほとんど全てのリスク・デメリットを解決できます。特定(管理不全)空き家は、そもそも空き家が対象の法律になりますので、居住している人がいれば指定されることがありません。

屋根や外壁、ブロック塀などの破損している部分は賃貸物件として貸し出す前に修繕・撤去し、損害賠償の責任を負うリスクも回避できます。

また、敷地内の樹木の剪定等の管理作業も賃借人に任せ、なおかつ家賃収入のうちから固定資産税を納税することも可能です。

ただし、貸し出す前の修繕費用や家財の処分費用が高額になり、前もって負担をする必要があります。

また、投資した金額を家賃収入で回収するのに何年もかかることがあります。

 

まとめ

空き家をそのままにしてしまうのには、様々なリスクやデメリットがあります。

今後も誰も使用する予定がない場合には賃貸や売却など、活用することをおすすめします。

 

以下のリンク先の記事で、賃貸するか売却するか判断する方法や、売却するときの注意点を詳しく解説しました。

ご興味のある人はご覧になってください。

 

 

この記事を書いた人

小川洋輔

小川 洋輔

新潟市の不動産会社 敬和不動産株式会社の代表
1981年生まれ、新潟市出身、南中野山小学校、東石山中学校、新潟明訓高校、明治大学出身。
宅地建物取引士、2012年より不動産業界に従事しています。

「はじめての不動産活用の「不安・心配」を「納得・安心」へ」をモットーに不動産活用の情報を提供させていただいています。
また、会社名の敬和不動産は生前、親孝行できなかった父の名前からもらいました。
私の仕事は、ご相談者様の最後の親孝行・兄弟孝行のお手伝いだと思っています。

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