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「固定資産税の負担が大変・・」

「管理するのに時間がとれない・・」

空き家を維持するには固定資産税の負担や管理作業など、お金や時間の負担が大変だと思いますが、残念ながら他にも様々な負担があります。

こちらの記事では、固定資産税も含めた、空き家の維持に必要な費用について解説しました。

 

こちらの記事を読んでいただくと、こんなことが分かります。

・空き家の維持にかかる費用にはどんなものがあるか?

・空き家の維持費の年間の目安は?

・空き家を維持するときの注意点とは?

 

目次

■空き家の維持にかかる費用にはどのようなものがある?

■固定資産税・都市計画税

■光熱費(電気料金・水道料金)

・電気料金

・水道料金

■火災保険料

■交通費

■草取りなどの管理費用

■不具合箇所の修繕費用

■年間の維持費用の総額

■空き家を維持する際の注意点

■まとめ

 

空き家の維持にかかる費用にはどのようなものがある?

空き家を維持するためには、様々な費用がかかります。

主な維持費用は以下の通りです。

・固定資産税・都市計画税

・光熱費(電気料金・水道料金)

・火災保険料

・交通費

・草刈りなどの管理費用

・不具合箇所の修繕費用

 

固定資産税・都市計画税

人が住んでいない空き家でも、残念ながら固定資産税・都市計画税がかかってしまいます。

固定資産税は不動産を所有するすべての人が負担する税金、

都市計画税は市街化区域内に不動産を所有する人が負担する税金です。

 

毎年、4月以降に市町村から納税通知書が所有者のご自宅に届き、そちらをもとに一括か、4回の分割払いで支払うことが一般的な納税方法です。

以下のような青色の書類です。

固定資産税は固定資産税評価額をもとにした課税標準額に1.4%の税率を、

都市計画税も同じく固定資産税評価額をもとにした課税標準額に0.3%の税率をかけたものが、それぞれの税額になります。

納税通知書をご覧いただくと、年間の固定資産税の税額を把握することができます。

 

固定資産税の負担は所有されている不動産の条件によって様々です。

私がご相談いただく空き家の年間の固定資産税の平均は7万円前後ですが、

課税標準額が大きくなればなるほど、税額の高額になります。

 

例えば、以前にご相談いただいたお客様の場合は土地面積が110坪以上あり、

土地と建物を合わせた固定資産税は年間で約18万円でした。

思い入れのあるご実家のことですが、大きな費用負担です。

 

光熱費(電気料金・水道料金)

電気・水道の契約をする場合は、それぞれの基本料金+利用料がかかります。

また、ガス漏れを防止して、火災の被害に遭うリスクを回避するためにも、

ガスはできれば契約しないほうが良いと、私は考えています。

 

電気料金

供給会社に東北電力を利用する場合のアンペア―ごとの基本料金は以下のようになっています。

月額にすると、数百円から2000円弱くらいで高額という印象はありませんが、

毎月の積み重ねで意外と大きな負担になります。

例えば、30Aで契約した場合に年間でかかる電気の基本料金は、

935円 × 12か月 = 11,220円 です。

 

電気料金を節約するコツには3つの方法があり、

・契約アンペア―数を変更する

・利用しないときはブレーカーを落とす

・利用しない家電のコンセントを抜いておく

以上のような方法があります。

 

月に一度の管理や遺品の整理で電気を利用する場合は、電気代を節約するためにアンペア―数の変更をしましょう。

また、テレビやエアコン、洗濯機などの利用しない家電のコンセントは抜いたほうが節約になります。

家電は使わなくても待機電力を消費していますので、節約になります。

 

また、冬場に給湯器の凍結防止のためにブレーカーをあげっぱなしにする以外は、不在の際にはブレーカーを落としたほうが良いです。

特に、老朽化した住宅の場合、劣化した電気配線からの漏電が原因の火災の心配があります。

 

水道料金

新潟市の水道料金の基本料金は以下のようになっています。

現在の住宅のほとんどは20mmで契約していることが多いですが、

以前は13mmか16mmの契約が一般的でした。

おそらく皆様の水道も13mmか16mmで契約されているはずです。

 

13mmで契約している場合の2か月間の基本料金は2,360円、

16mmで契約している場合の2か月間の基本料金は3,580円です。

電気料金よりも高額で、年間にかかる基本料金は、14,160円から21,480円です。

 

火災保険料

建物の構造や規模、築年数、ご希望の補償の内容でも異なりますが、火災保険料の目安は年間で5万円前後からです。

 

人が住んでいない空き家は通常の住宅用火災保険に加入することができず、店舗や事務所などの一般物件と同じ扱いになり、住宅用火災保険よりも保険料が割高です。

また、地震保険を付帯することができないというデメリットもあります。

そのため、地震が原因の火災が発生しても、補償の対象外になってしまいます。

万が一、火災が発生し、建物の解体や撤去、近隣への見舞金の支払いが必要になった場合、実費で負担することになり、非常に大きな負担がかかってしまいます。

 

また、火災保険には他にも注意点があります。

ご両親などの以前の所有者が加入した火災保険を継続して契約している人がいらっしゃいますが、空き家が対象になる保険か、かならずご確認いただくことをおすすめします。

 

先ほどもお伝えした通り、空き家は通常の住宅用火災保険に加入できません。

ご両親が加入していた保険は住宅用火災保険だと思いますが、その内容を引く次ぐことができないケースも多いからです。

せっかく保険料を支払ってきたのに、いざというときに補償の対象外ということもありえます。

保険会社へ必ず確認するようにしてください。

 

 

交通費

空き家の近所にお住まいの人にとって、交通費は大きな負担ではありませんが、

空き家から遠方にお住いの場合、管理や遺品整理のために現地に移動する際の交通費がかかります。

例えば、東京・新潟間の新幹線の料金は自由席で片道10,230円、往復で20,460円です。

 

高速道路を利用する場合は、ガソリン代と高速料金がかかります。

例えば、新潟中央インターから東京インターまでの高速料金はETC割引がついて片道9,310円、往復だと18,620円です。

 

ガソリン代も車両の燃費やエアコンを利用するかによって変わりますが、

新潟から東京まで4,000円から5,000円くらいが目安でしょうか。

 

異動する機会が増えれば増えるほど、高額になっていきます。

 

草刈りなどの管理費用

敷地内の草刈りの作業は空き家を管理するうえで必須の作業です。

樹木の剪定を行うことで、近隣トラブルや空き巣などの犯罪被害に遭うリスクを未然に防ぐことができます。

少なくとも春先と秋口の年に2回、できれば3回から4回の作業回数が目安です。

 

草刈りをご自身で行う場合は費用がかかりませんが、

民間の業者やシルバー人材センターに作業を行ってもらう場合は、その費用がかかります。

土地の面積によって異なりますが、シルバー人材センターに依頼する場合で、

1日で作業が完了できるケースで10,000円前後が目安です。

シルバー人材センターは民間の会社より安価に請け負ってくれるため、費用負担が少なく済みます。

 

春先と秋の年2回の作業で、20,000円前後が目安です。

年に4回の作業で40,000円前後の費用負担になります。

 

 

不具合箇所の修繕費用

建物が老朽化すると、屋根材や外壁材のずれなどが原因の雨漏りや、ブロック塀のひび割れなど、様々な不具合が発生します。

建物の資産価値を保つためにも修繕が必要になりますが、業者へ依頼するため、費用も高額になります。

補修のような軽微な作業であれば数万円の負担で済みますが、

交換が必要なケースでは100万円単位の費用がかかることもあります。

 

年間の維持費用の総額

空き家を維持するための費用は、遠方にお住まいか、管理作業を自分で行うか、条件によって様々ですが、固定資産税や光熱費、火災保険の固定の費用でも150,000円前後の費用がかかります

さらに、移動する交通費や草刈りなどの管理作業を含めると、年間で20万円を超える維持費がかかります。

以下に一覧でまとめましたので、ご確認ください。

 

・固定資産税・都市計画税 年間70,000円前後

 

・光熱費(電気料金・水道料金) 年間25,380円から32,700円

 

・火災保険料 年間 50,000円から

 

・交通費 20,000円前後(一度の移動・遠方にお住いの場合)

 

・草刈りなどの管理作業 年間20,000円から(業者へ依頼する場合)

 

・不具合箇所の修繕費用 数万円から

 

 

空き家を維持する際の注意点

空き家を維持する際には、定期的な管理作業を行い、放置しないことが非常に重要です。

放置してしまうと、以下のようなリスクがあります。

 

・特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大で6倍になる

・売却するときの税金の特別控除の特例が利用できなくなる

・資産価値が下がり続け、安価に手放すことになってしまう

・近隣とのトラブルになり、損害賠償の義務を負う

・空き巣や不法侵入などの犯罪被害を受ける

 

特定空き家・管理不全空き家に指定され、固定資産税が最大で6倍になる

特定空き家・管理不全空き家とは、市町村から「周辺地域に悪影響をおよぼす空き家」と指定された空き家のことです。

空き家所有者にとってのデメリットは、特定空き家・管理不全空き家に指定されると土地の固定資産税が最大で6倍になることです。

日本国内の空き家の数は年を追うごとに増え続けています。

適切な管理がされていない空き家の影響は周辺地域の治安や景観の悪化、建物やブロック塀などの倒壊による被害など、大きな社会問題になっています。

 

国は管理されていない空き家の数を減らしたいという理由で、平成26年に「空き家等対策特別措置法」という法律が施行し、市町村は法律にもとづいて以下のような空き家を「特定空き家」に指定することができるようになりました。

 

・著しく保安上危険となるおそれのある状態

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

また、「管理不全空き家」とは適切な管理がされていない空き家の中で、放置すると特定空き家になる可能性がある空き家のことを指します。

この「管理不全空き家」という言葉は令和5年に法律が改正されたことで生まれた言葉です。

それまでは特定空き家のみが固定資産税の軽減措置の解除の対象でしたが、令和5年の法律の改正で対象が広がり、空き家の所有者にとって、さらに厳しい状況になりました。

 

 

売却するときに、税金の特別控除の特例が利用できなくなる

相続した空き家や、所有者の施設への入所で空き家になった住宅を売却するとき、一定の期間内であれば売却したあとの税金を大幅に圧縮できる特別控除の特例を利用することができます。

どちらの特別控除の特例も最大の節税効果は約600万円です。

代表的な特別控除の特例は以下の2つです。

 

・居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例

・空き家の3000万円の特別控除の特例

 

ただし、この2つの特例はいつでも利用できるわけではありません。

いくつかの要件がありますが、その中でも重要なのが期限についての要件です。

空き家の3000万円の特別控除の特例は「相続してから3年を経過する年の年末まで」、

居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例は「転居してから3年を経過する年の年末まで」という期限の要件があります。

長い時間、空き家を放置してしまうと特別控除の特例が利用できなくなり、いざ売却したあとに高額な税金を納めることになってしまいます。

例えば、2000万円の不動産を売却した場合で考えると、

特別控除の特例を利用できる場合の税金は0円であるのに対して、特別控除の特例を利用できない場合の税金は約400万円です。

売却する時期が違うことで、ここまで大きな差が生まれます。

 

 

 

資産価値が下がり続け、安価に手放すことになってしまう

住宅は人が住まなくなると、急速に劣化していきます。

そして急速に劣化していくと、建物の資産価値も比例して下がっていくことになります。

 

人が住んでいない空き家が劣化しやすい理由は以下の4つです。

・人の出入りがなく、湿気がこもる

・故障や不具合に気づかず、雨漏りや水漏れが起こる

・上下水道を利用しないため、給排水管がさびて詰まる

・白アリや小動物、ダニ、ねずみが住みつく

 

人の出入りがないと建物内に湿気がこもり、建材が湿気を吸収し、大量のカビが発生します。

人が住んでいれば、ドアや窓の開け閉めが頻繁にされ、室内の湿気が外に出ていく機会が頻繁にありますが、だれも住んでいない空き家では湿気が建物内にこもり続けます。

湿気がこもると、建物の木材が水分を吸い取ります。

さらにカビが大量に発生し、建物の柱などの躯体部分や壁・床・天井などの建材が痛み、老朽化がどんどん進んでいきます。

 

人が住んでいないと屋根や外壁、設備の不具合が生じても気づかないことがあります。

屋根や外壁からの雨漏り・水漏れは建物内の湿度をあげてしまうことはもちろん、建物の柱などの躯体部分を痛め、腐らせてしまうこともあります。躯体部分が腐ってしまっては将来にわたって建物を利用することはできません。

 

上下水道を利用しないと、給排水管内の水が枯れ、さびの原因になります。

さびが大量に発生すると、つまりの原因になり、最悪の場合には給排水管に穴があき、利用が困難な状態にもなりえます。

 

また、水が枯れた給排水管からハエやゴキブリ、蚊などの小さな虫が建物内に侵入し、室内に大量の死骸が発生したり、建物内に住みついたシロアリなどの害虫やハクビシンなどの小動物が躯体部分をかじり、柱や基礎の一部が欠損することも考えられます。

 

さらに、空き家の立地や道路の条件によっては売却しようと思っても買いたい人が見つからない「負動産」になってしまうこともあります。

 

「負動産」とは資産価値が低く、所有しているだけで損をしてしまう不動産のことです。

以下のような特徴があります。

 

・売りたいと思っても買いたい人がいない(需要がない)

・貸したいと思っても借りたい人がいない(収益性がない)

・維持管理するのに費用や手間がかかる(管理する手間や固定資産税の負担がある)

 

負の財産が「負動産」と呼ばれているのですが、

どのような不動産が負の財産になりやすいかというと、

 

・築年数が40年以上経過し、地価の低い地域に所在する土地と建物

・接道義務を満たしていない、または車が入れない狭い小路に所在する土地と建物

・さびれた別荘地内の土地や建物

・築年数が経過し老朽化した、空き室の目立つ分譲マンション

 

などです。

 

特に、戸建ての場合は建物の解体費用を土地の売買代金で回収できないことが多く、中古住宅として売却することが必須です。

ですが、空き家の期間が長くなると劣化が進んでいて、購入希望者を探すことが非常に難しくなります。

 

このように空き家になった当時であれば、中古住宅として売却できた不動産でも、

老朽化が進んでいくことで建物を解体して売却しなければいけなくなったり、

金額を下げて売却する必要が生じ、お手元に残せる金額の少なくなったり、

最悪の場合には売るに売れなくなることもあります。

 

近隣とのトラブルになり、損害賠償の義務を負う

建物の外壁や屋根、雨どい、ブロック塀などが破損・落下し、

第三者に被害を負わせてしまった場合、その責任は誰が負うことになるでしょうか?

誰も住んでいないのだから、誰も悪くないような気もしますが、違います。

 

その責任は空き家の所有者が負うことになります。

この責任は民法の717条に規定されており、「所有者責任(工作物責任)」と言います。

 

この責任の特徴は、所有者が善意無過失でも責任を負わなければいけないことです。

つまり、「忙しくて空き家の様子をしばらく確認できておらず、建物の状況が悪いことを知らなくても所有者に責任がある」という規定です。

屋根や外壁が落下して人に激突するなど、最悪の事態にならないように空き家がどのような状況なのか確認して、事前にトラブルを回避する必要があります。

「危険な箇所はないか」「事故につながりそうな箇所はないか」をしっかりと把握し、

必要な修繕をすることで、危険を回避する必要があるということです。

 

空き巣や不法侵入などの犯罪被害を受ける

空き家は敷地内に人の目がなく、草木が生い茂って外からの人の目が届きづらいため、空き巣や不法侵入などの販売の被害に遭いやすくなります。

空き家を狙った空き巣の被害は、警察庁によると統計を取り始めた2000年から4年間で約2.5倍になり、発覚している事件数だけでも8000件を超えています。

人目につきにくく、物色しやすく、被害が発覚するのに時間がかかることが空き家をねらう原因で、警察官いわく「敷地を雑草がおおっているか、郵便受けにチラシがたまっているか」で空き家を見分けているそうです。

ご相談いただくお客様の中にも空き巣の被害に遭った人が多くいらっしゃることから、私自身も身近な問題に感じています。

 

まとめ

空き家を維持するには高額な費用の負担がかかります。

また、適切に管理できれば良いのですが、遠方にお住まいであったり、管理する時間がとれずに、放置してしまう人も一定数いらっしゃいます。

放置してしまうと、さまざまな経済的なリスクやデメリットもあり、今後も誰も住む予定がない場合は早めの対策が必要です。

これを機会に活用を始めようとお考えの人は以下に活用について詳しく解説した記事を掲載しましたので、ぜひご覧になってください。

 

 

 

この記事を書いた人

小川洋輔

小川 洋輔

新潟市の不動産会社 敬和不動産株式会社の代表
1981年生まれ、新潟市出身、南中野山小学校、東石山中学校、新潟明訓高校、明治大学出身。
宅地建物取引士、2012年より不動産業界に従事しています。

「はじめての不動産活用の「不安・心配」を「納得・安心」へ」をモットーに不動産活用の情報を提供させていただいています。
また、会社名の敬和不動産は生前、親孝行できなかった父の名前からもらいました。
私の仕事は、ご相談者様の最後の親孝行・兄弟孝行のお手伝いだと思っています。

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