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空き家などの不動産を売却する人のほとんどが不動産会社へ依頼する売却査定。

一括査定は同時に複数の不動産会社へ手軽に査定依頼をできることから利用者にとってメリットのある方法のように感じられますが、デメリットも多くあります。

こちらの記事では不動産一括査定サイトを利用する際のデメリットや注意点を詳しく解説しました。

 

この記事を読んでいただくと、こんなことが分かります。

・不動産一括査定サイトと、そのデメリット

・不動産一括査定サイトを利用するときの注意点

・不動産会社の選び方

 

目次

■不動産一括査定サイトとは?

■不動産一括査定サイトを利用するデメリットとは?

・相場よりも明らかに高額な査定価格で売却できると誤解してしまう

・実績のある不動産会社に売却を依頼できるとは限らない

・各社からしつこい営業を受ける

■一括査定サイトを利用するときの注意点とは?

・査定価格の根拠をきちんと説明してもらう

・しつこい営業をしてくる不動産会社とは関わらない

・そもそも興味本位では利用しない

■不動産会社の選び方

・不動産売却の実績が豊富な売買専門の不動産会社であること

・物件が所在する地域に精通していること

・インターネットの広告に力を入れていること

・担当者の対応が優れていること

・不動産会社は大手と中小企業、どちらを選べばよいのか

■まとめ

 

不動産一括査定サイトとは?

不動産一括査定サイトとは、不動産を売却した人が同時に複数の不動産会社に無料で不動産査定を依頼できるサイトです。

不動産を売却する場合、複数の不動産会社へ相談の上、適正な売り出し価格を判断するのが一般的な方法ですので、不動産一括査定サイトを利用するのは理にかなった方法のように感じます。

「どうせ複数の不動産会社に相談するんだから、同時に相談できれば手間も省けて、一石二鳥だ」というイメージです。

それでは、一括査定サイトはどのような仕組みなのでしょうか?

 

一括査定サイトは、不動産会社ではなく、別の会社が運営しています。

一括査定サイトの運営会社は不動産会社の代わりに、不動産の売却査定を希望している人を探し、その情報を不動産業者へ取り次いでいます。

そのため、一括査定サイトの運営者が査定を行うわけではなく、一括査定サイトの運営者から取次ぎを受けた不動産会社が査定を行うことになります。

 

依頼者は一括査定サイト上で査定をしてもらいたい不動産の情報や依頼者の氏名や連絡先などの個人情報を入力し、その情報が一括査定サイトの運営会社から複数の不動産会社へ共有され、それぞれの不動産会社が査定をする仕組みです。

 

不動産会社は不動産を売却したい人を紹介してもらうために、一括査定サイトの運営会社と契約し、その情報をお金を支払って購入しています。

不動産会社にとっては、売却希望のお客様を探すための営業活動をする必要がないことがメリットですが、一括査定サイトの運営会社への紹介料の支払いというコストが発生します。

そのため、コストを上回る利益を確保するために、競合他社との売却査定の提案に勝たなければいけなくなります。

不動産を売却しようと思っている人にとってのデメリットは、そのような状況から生まれています。

それでは、一括査定サイトを利用するデメリットとは何でしょうか?

 

不動産一括査定サイトを利用するデメリットとは?

不動産一括査定サイトを利用するデメリットは以下の3つです。

 

・相場よりも明らかに高額な査定価格を提示され、高額で売却できると誤解してしまう

 

・実績のある不動産会社に不動産の売却を依頼できるとは限らない

 

・各社からしつこい営業を受ける

 

以上です。順番に説明していきます。

 

相場よりも明らかに高額な査定価格で売却できると誤解してしまう

不動産一括査定サイトのデメリットの一つは「相場よりも高額な査定価格の提示を受けること」です。

不動産会社は依頼者が他の不動産会社からも査定の提示を受けることを当然ですが分かっています。

そのような状況の中で、競合他社との戦いに勝って、実際に売却の依頼をもらいたいと考えています。

 

競合他社との戦いに勝つために最も簡単な方法は、「相場よりも高額な査定価格を依頼者へ提示すること」です。

ほとんどの人にとって、不動産の売却は初めての経験です。

「不動産会社から提示された査定価格で売れるのだろう」と考える人もほとんどです。

不動産売却という不慣れな状況の中で、プロの不動産会社から提示された査定内容を疑う理由はありません。

 

ですが、査定価格はあくまでも査定価格で、不動産会社は成約を保証しているわけではありません。

相場よりも明らかに高額な査定価格で売りに出して、売れなかったとしても不動産会社にはそれを保証する責任もありません。

そんな状況を利用して、あくまでも売却の依頼をいただくために、明らかに高額な査定価格を提示する不動産会社が実際にいます。

 

 

 

実績のある不動産会社に売却を依頼できるとは限らない

不動産一括査定サイトに登録している不動産会社が、実績のある不動産会社であるとは限りません。

 

そもそもの話ですが、査定サイトの運営会社に紹介料を支払ってまで一括査定サイトを利用している会社の中に、実績のある不動産会社はほとんどありません。

実績のある不動産会社は自社独自の広告の仕組みや過去のお客様からのご紹介で成り立っています。

わざわざ、複数の不動産会社と競合しなければいけない一括査定サイトを、お金を支払ってまで利用する理由がありません。

 

また、不動産一括査定サイトを利用すると、査定対象の不動産が所在する地域とは全く別の地域に事務所を構える不動産会社から営業されることもあります。

そのような不動産会社は地域性や周辺の相場についての知識もありません。

売却を依頼しても良い結果に結びつくとは思えません。

 

さらに、一括査定サイトで査定を依頼できるのは、査定サイトに登録している不動産会社のみになります。

登録していない不動産会社に依頼者がアクセスすることはできず、実績のある不動産会社へ依頼する機会を逃してしまう可能性もあります。

 

各社からしつこい営業を受ける

不動産一括査定サイトを利用すると、不動産会社各社からしつこい営業を受けます。

不動産会社は紹介料を一括査定サイトの運営会社に支払って、依頼者の情報を取得しています。

依頼者から売却の依頼を受けられなければ、運営会社に払ったお金の元が取れません。

不動産会社も必死です。

 

また、運営会社から依頼者の個人情報を受け取る不動産会社の中には、依頼者の個人情報をさらに他の不動産会社に転売している悪質な業者もいます。

個人情報の転売に次ぐ転売で、依頼者の個人情報はどんどん拡散していきます。

その結果、とんでもない件数の営業電話や訪問を受けるケースもあります。

 

一括査定サイトを利用するときの注意点とは?

一括査定サイトを利用する際のデメリットについて説明しましたが、それでも利用したい場合に注意しなければいけないポイントは以下になります。

 

・査定価格の根拠をきちんと説明してもらう

 

・しつこい営業をしてくる不動産会社とは関わらない

 

・そもそも興味本位では利用はしない

 

以上の3点です。

 

査定価格の根拠をきちんと説明してもらう

査定価格には不動産会社によって多少の誤差が生じます。

不動産査定は過去に査定対象の不動産と似たような条件の不動産が、どのくらいの金額で売れたか、つまり取引事例をもとに行われることが一般的ですが、不動産会社各社で参考にしている事例が異なるため、査定価格にも相違が生じるのです。

 

多少の誤差が生じるのは仕方のないことですが、上記のように明らかに相場価格を無視した査定価格が提示されることもあります。

価格に大きな乖離が生じている場合も含めて、査定価格の根拠をしっかりと担当者に確認しましょう。

あいまいな説明に終始するような不動産会社には売却を依頼しないほうが賢明です。

 

また、事前に不動産の相場価格を調べる方法もあります。

不動産の価格は過去の取引事例をもとに決まるため、取引事例を確認することで、おおよその相場価格を把握することができます。

ご興味のある人は以下のリンクの文章を参考に調べてみてください。

 

 

しつこい営業をしてくる不動産会社とは関わらない

一括査定サイトを利用すると複数の不動産会社が依頼者の情報を共有するため、非常に多くの営業を受けることになります。

誰もが忙しく毎日を送っているのに、勤務中の営業電話やアポなしの自宅訪問には辟易とすることもあると思います。

 

あまりにもしつこく不在着信や訪問をしてくる不動産会社とは関わらないほうが良いです。

不動産の売却は短くても数カ月の期間がかかります。

また、仲介での売却は所有者と不動産会社との協力作業になります。

不動産会社やその担当者との信頼関係は売却を依頼・成功させるにあたって非常に重要な要素です。

一方的に強引な営業をしてくるような不動産会社と信頼関係を築くことには無理があるため、関わらないほうが無難です。

 

また、しつこい営業電話や訪問は、はっきりと断ったほうが良いです。

断らない限り、延々と続く可能性があります。

不動産会社も紹介料を支払っているため、少しでも見込みがあると考えていると営業を止めることはありません。

連絡手段はメールでも構いませんので、しっかりと断ったほうが良いです。

 

そもそも興味本位では利用しない

不動産を売却する予定がないにも関わらず、一括査定サイトを利用する人がいらっしゃいますが、やめましょう。

売却予定のない人が査定サイトを利用する目的は、ご自宅や所有している不動産の資産価値を確認することです。

気になるのは仕方がありませんが、不動産会社を介さずに、ご自身で調べてください。

 

査定サイトの利用者(依頼者)は無料で査定サイトを利用できますが、不動産会社は一括査定サイトの運営者へ紹介料を支払って、情報を購入しています。

営業行為に強引さがある会社もありますが、依頼者には売却の意思がある前提で真剣に業務を行っています。

売却の予定がないのに査定サイトを利用されても、どの不動産会社にとって無償で業務を行っているだけです。

売却の予定がない場合は査定サイトを利用しないようにしましょう。

 

不動産会社の選び方

不動産一括査定サイトを利用せずに不動産会社を選ぶ方法にはどのような方法があるのでしょうか?

選び方は人それぞれの感覚次第になりますが、ポイントについて説明しました。以下のポイントをお勧めします。

 

・不動産売却の実績が豊富な売買専門の不動産会社であること

 

・物件が所在する地域に精通していること

 

・インターネットの広告に力を入れていること

 

・担当者の対応が優れていること

 

以上の4点です。順番に説明していきます。

 

不動産売却の実績が豊富な売買専門の不動産会社であること

不動産を売却する際、売却実績が豊富な不動産会社を選んだほうが良いです。

不動産会社というと、どこも同じように感じてしまいますが、賃貸物件の仲介が得意な不動産会社と売買物件の仲介が得意な不動産会社の、大きく2つに分けることができます。

街中でよく目にする「アパマンショップ」や「エイブル」などは、賃貸物件の仲介が得意な不動産会社です。

 

売買が得意な不動産会社は、そのほとんどが不動産の売却を専門にしており、自社のホームページにも売却を専門にしていることがアピールされています。

各社のホームページを参考にして依頼する不動産会社を選んでください。

 

物件が所在する地域に精通していること

物件が所在する地域に対して相場観がある不動産会社を選んでください。

地域に対して精通していて、過去に不動産売却の取引の実績のある不動産会社は、その地域にはどのような需要があり、どの程度の金額で成約できるか、正確に把握しています。

その地域の需要を理解していない不動産会社に依頼しても良い結果にはつながりません。

 

インターネットの広告に力を入れていること

不動産の購入希望者はインターネットで集客を行うことが一般的な方法です。

以前は新聞の折り込みチラシなど、物件情報を表示した紙ベースの印刷物で集客を行うこともありましたが、住宅を購入する若年層の新聞や印刷物の活字離れも多く、現在ではインターネットを利用した集客方法がメインになります。

 

購入希望者は自分のタイミングでスマホを利用して物件情報をチェックしています。

お客様は、スーモやアットホームなどの物件情報が網羅されているポータルサイトで物件情報を探すことが多いです。

インターネットの広告に力を入れている不動産会社を選ぶことで、お問い合わせ件数が増え、成約できる可能性も高くなります。

 

基本的には売買を専門にしているほとんどの不動産会社はインターネットの集客に注力していますが、まれに高齢化が進んでいる不動産会社ではインターネットの広告を軽視している場合があります。

 

担当者の対応が優れていること

不動産会社を選ぶとき、会社単位よりも、そこで勤務している担当者単位で選んだほうがより良い結果に結びつきます。

 

不動産の売却の仲介のような営業の職種では、営業担当者の個人の能力によって最終的な結果が大きく変わります。

経験値の低い大手の会社の担当者よりも経験値の高い中小企業の担当者のほうが良い結果をもたらしてくれます。

 

不動産会社の内部事情としては、大手であろうが、地元の中小規模の会社であろうが、歴史が長かろうが短かろうが、社員同士の個人間での連携はあまりありません。

個人個人がそれぞれ、売り上げを追いかけている状態です。

 

社員は、入社してすぐに会社から売り上げを求められます。

上場企業が新入社員に行っているような、社員の未来に投資するための社員教育も特にありません。

「働いてもらってダメなら辞めてもらえばいい」と思われても仕方がないような、採用の仕方をしている会社も多いと思います。

 

組織としての統率もあまりなく、会社は従業員個人の能力に大きく依存していることが多いです。

また、業界からの離職率も他の業界に比べると多いような印象です。

 

そのため、業界内でも個人の能力的な格差が大きく、長く業界にいて、取引件数が多い担当者は経験値も知識も豊富ですが、職歴が短い人は不動産売買の税制や売却のための方法にも未熟なことがあります。

 

つまり、会社ではなく、担当者個人の能力しだいで、不動産の売却結果は大きく変わります。

 

不動産会社は大手と中小企業、どちらを選べばよいのか

大手の不動産会社と地元の中小企業の不動産会社を比較して、どちらが良いのか、お悩みの人もいらっしゃるかと思いますが、どちらが優れているか、一概には断言できません。

先ほどもお伝えしましたが、大きな会社でも小さな会社でも、従業員間の能力的な格差は間違いなく存在しています。

 

どこに売却をお願いするかの基本的な考え方ですが、担当者の過去の実績(実力)と、人柄(信頼できるか)で選ぶことをおすすめします。

 

つまり、売買専門の不動産会社であり、地元の不動産会社であり、インターネットの広告をきちんと行っている不動産会社であれば、どの会社に査定依頼をしても良いと考えています。

 

ただ査定依頼は、あくまでも査定依頼です。

実際に、どの担当者に売却を依頼するかどうかは、担当者の実力と人柄によります。

 

これは私の考え方で、当然絶対的なものではありません。

ひとつの参考材料にしてもらえればと思います。

 

 

まとめ

不動産一括査定サイトは一度に複数の不動産会社へ査定を依頼できる便利なサービスですが、デメリットも多くあります。

そのうちで最も大きなデメリットは、相場を無視した高額な査定額が提示され、依頼者がその金額で成約できると誤認してしまうことです。

相場を無視した金額で成約できることは、ほとんどありません。

相場を理解しているお客様からの反響がなく、物件情報が塩漬けになり、

想定したよりも低い金額で成約になることもあります。

一括査定サイトを利用するときは注意してください。

 

また、不動産の売却は査定額の高い・低いよりも、実績のある不動産会社・担当者へお願いするのが一番良い方法です。

大手・中小企業や査定額の多寡に振り回されないようにしましょう。

この記事を書いた人

小川洋輔

小川 洋輔

新潟市の不動産会社 敬和不動産株式会社の代表
1981年生まれ、新潟市出身、南中野山小学校、東石山中学校、新潟明訓高校、明治大学出身。
宅地建物取引士、2012年より不動産業界に従事しています。

「はじめての不動産活用の「不安・心配」を「納得・安心」へ」をモットーに不動産活用の情報を提供させていただいています。
また、会社名の敬和不動産は生前、親孝行できなかった父の名前からもらいました。
私の仕事は、ご相談者様の最後の親孝行・兄弟孝行のお手伝いだと思っています。

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