空き家などの不動産の売却では不動産会社に依頼するのが一般的ですが、どの不動産会社に依頼するかが非常に重要です。
不動産会社にも得意分野・不得意分野があり、選び方に失敗すると予想していたよりも安価で売却してしまったり、売却まで時間がかかるなど、不利益を被ることもあります。
こちらの記事では信用できる不動産会社や担当者の選び方について解説しました。
この記事を読んでいただくと、こんなことが分かります。
・不動産会社の選び方
・実績のある担当者の選び方
目次
■不動産を売却する際の不動産会社の選び方とは?
・不動産売却の実績が豊富な売買専門の不動産会社であること
・物件が所在する地域に精通していること
・インターネットの広告に力を入れていること
・担当者の対応が優れていること
■不動産会社は大手と中小企業、どちらを選べばよいのか
■不動産会社の担当者の選び方とは?
・査定書に説得力があること
・宅地建物取引士の資格を持っていること
・売却するときにかかる費用と税金について確認する
・より高く売却するための方法を提案してもらう
・担当者の実績を確認すること
・担当者の人柄について
■不動産会社は1社のみを選ぶ必要はありません
■まとめ
不動産を売却する際の不動産会社の選び方とは?
空き家などの不動産を売却する場合、どうやって不動産業者を選びますか?
人の感覚によって選び方はそれぞれですが、こちらでは不動産会社を選ぶときのポイントについて説明しました。
以下のポイントをおすすめします。
・不動産売却の実績が豊富な売買専門の不動産会社であること
・物件が所在する地域に精通していること
・インターネットの広告に力を入れていること
・担当者の対応が優れていること
以上の4点です。順番に説明していきます。
不動産売却の実績が豊富な売買専門の不動産会社であること
不動産を売却する際、売却実績が豊富な不動産会社を選んだほうが良いです。
不動産会社というと、どこも同じように感じてしまいますが、
賃貸物件の仲介が得意な不動産会社と売買物件の仲介が得意な不動産会社の、
大きく2つに分けることができます。
街中でよく目にする「アパマンショップ」や「エイブル」などは、賃貸物件の仲介が得意な不動産会社です。
売買が得意な不動産会社は、そのほとんどが不動産の売却を専門にしており、自社のホームページにも売却を専門にしていることがアピールされています。
各社のホームページを参考にして依頼する不動産会社を選んでください。
物件が所在する地域に精通していること
物件が所在する地域に対して相場観がある不動産会社を選んでください。
地域に対して精通していて、過去に不動産売却の取引の実績のある不動産会社は、その地域にはどのような需要があり、どの程度の金額で成約できるか、正確に把握しています。
その地域の需要を理解していない不動産会社に依頼しても良い結果にはつながりません。
インターネットの広告に力を入れていること
不動産の購入希望者はインターネットで集客を行うことが一般的な方法です。
以前は新聞の折り込みチラシなど、物件情報を表示した紙ベースの印刷物で集客を行うこともありましたが、住宅を購入する若年層の新聞や印刷物の活字離れも多く、現在ではインターネットを利用した集客方法がメインになります。
購入希望者は自分のタイミングでスマホを利用して物件情報をチェックしています。
お客様は、スーモやアットホームなどの物件情報が網羅されているポータルサイトで物件情報を探すことが多いです。
インターネットの広告に力を入れている不動産会社を選ぶことで、お問い合わせ件数が増え、成約できる可能性も高くなります。
基本的には売買を専門にしているほとんどの不動産会社はインターネットの集客に注力していますが、まれに高齢化が進んでいる不動産会社ではインターネットの広告を軽視している場合があります。
担当者の対応が優れていること
不動産会社を選ぶとき、会社単位よりも、そこで勤務している担当者単位で選んだほうがより良い結果に結びつきます。
不動産の売却の仲介のような営業の職種では、営業担当者の個人の能力によって最終的な結果が大きく変わります。
経験値の低い大手の会社の担当者よりも経験値の高い中小企業の担当者のほうが良い結果をもたらしてくれます。
不動産会社の内部事情としては、大手であろうが、地元の中小規模の会社であろうが、歴史が長かろうが短かろうが、社員同士の個人間での連携はあまりありません。
個人個人がそれぞれ、売り上げを追いかけている状態です。
社員は、入社してすぐに会社から売り上げを求められます。
上場企業が新入社員に行っているような、社員の未来に投資するための社員教育も特にありません。
「働いてもらってダメなら辞めてもらえばいい」と思われても仕方がないような、採用の仕方をしている会社も多いと思います。
組織としての統率もあまりなく、会社は従業員個人の能力に大きく依存していることが多いです。
また、業界からの離職率も他の業界に比べると多いような印象です。
そのため、業界内でも個人の能力的な格差が大きく、
長く業界にいて、取引件数が多い担当者は経験値も知識も豊富ですが、
職歴が短い人は不動産売買の税制や売却のための方法にも未熟なことがあります。
つまり、会社ではなく、担当者個人の能力しだいで、不動産の売却結果は大きく変わります。
不動産会社は大手と中小企業、どちらを選べばよいのか
大手の不動産会社と地元の中小企業の不動産会社を比較して、どちらが良いのか、お悩みの人もいらっしゃるかと思いますが、どちらが優れているか、一概には断言できません。
大きな会社でも小さな会社でも、従業員間の能力的な格差は間違いなく存在しています。
どこに売却をお願いするかの基本的な考え方ですが、担当者の過去の実績(実力)と、人柄(信頼できるか)で選ぶことをお勧めします。
つまり、売買専門の不動産会社であり、地元の不動産会社であり、インターネットの広告をきちんと行っている不動産会社であれば、どの会社に査定依頼をしても良いと考えています。
ただ査定依頼は、あくまでも査定依頼です。
実際に、どの担当者に売却を依頼するかどうかは、担当者の実力と人柄によります。
これは私の考え方で、当然絶対的なものではありません。
ひとつの参考材料にしてもらえればと思います。
不動産会社の担当者の選び方とは?
不動産会社の担当者の選び方について解説します。
担当者の能力を見極めるために、以下の6つのポイントをご確認下さい。
確認するタイミングでお勧めなのが、査定書を提出してもらった後です。
・査定書に説得力があること
・宅地建物取引氏の資格を持っていること
・売却するときにかかる費用と税金を確認すること
・より高く売却するための方法を提案してもらうこと
・担当者の実績を確認すること
・担当者の人柄について
以上です。こちらも順番に説明していきます。
査定書に説得力があること
査定方法は担当者単位で違いますが、共通して言えることは、周辺の過去の不動産取引の事例を参考にしていることです。査定価格は担当者ごとに誤差が生まれます。
査定価格の多寡だけではなく、根拠に説得力があるかどうか、話を聞いてください。
また、不動産会社の中には、他の競合他社との査定提案に勝ち、依頼者から売却の依頼を受ける目的で、相場価格よりも明らかに高額な査定価格を提示する会社もあります。
不動産の売却は、ほとんどの人にとって初めての経験です。
不慣れな状況の中で、不動産会社から提示された査定価格を疑うことは難しく、その金額で売れるのだろうと考える人がほとんどです。
ですが、相場価格を無視した金額で売り出しをしたとしても、売れることはほぼありません。
明らかに高額な金額を提示した不動産会社があった場合、特に注意して価格の根拠についての説明を受けてください。
宅地建物取引士の資格を持っていること
宅地建物取引士は、不動産売買を行う上で、必須の資格です。
この資格を持っていない人は、重要事項説明書という書類を作成・説明できないからです。重要事項説明書は、物件の重要事項を表示して、売主・買主に説明するための書類です。
不動産取引は、売り買いする金額が大きいことから、引き渡しをしたあとに問題が発覚すると、大きなトラブルに繋がる危険性が高い取引です。
不動産会社は、のちのちトラブルが起こらないように、事前に物件の詳細を調査して、それを前提に重要事項説明書を作成します。
私の場合だと、査定の段階で、ほとんど全ての調査をします。
トラブルを抱えた物件の場合は、その部分を含めて金額設定をしなければ、意味がないからです。
査定段階で、書類が作成できるくらいまで調査をしてから、査定価格を提示するようにしています。
調査の精度は、過去の取引の実績数が多ければ多いほど、高まります。
宅地建物士の中には、調査があまりできない人もいますが、
「調査がきちんとできる・できない」のひとつの判断材料にするために、
宅地建物取引士の資格を持っているかどうかを確認したほうが良いです。
これは自分自身を守ることにも繋がります。
また、不動産業者として不動産売買に関わる以上、宅地建物取引士の資格を持っていることは最低限のマナーだと、私は思っています。
売却するときにかかる費用と税金について確認する
不動産を売却するとき、事情によって本当にさまざまなお金がかかります。
また、売却利益が発生したときの譲渡所得税は莫大な金額になります。
特に、譲渡所得税に関わる「3000万円の特別控除」を利用する場合、売却方法や売却の時期などにも条件があります。
売り方や時期を間違えると、売主さんの手元に残せるお金の金額が全く変わってきます。
不動産会社の役割は、「できるだけ高く、できるだけ安全に取引を行うこと」だと、私は思っています。
そのためにも、必要諸経費や税金については、事前に不動産業者からアドバイスをもらうべきです。
より高く売却するための方法を提案してもらう
誰でもそうだと思いますが、せっかく売却するのですから、より高い金額で買ってくれるお客様に売りたいものです。
ですが、不動産の価格は、売却先によって、ものすごく変わります。
購入するお客様の利用目的が全然違うからです。
お客さんの種類は本当にさまざまです。例を挙げてみると・・・、
・自宅を建築するために土地を探している、個人のお客さん
・賃貸物件として貸しに出すために購入する、投資家
・建て売り用地、建築条件付きの用地を探している、建築会社
・転売目的で購入する、不動産会社
・リフォームして再販売する、リフォーム再販売会社
などなど、お客さんの目的によって、購入できる金額(出せる金額)は全く変わってきます。
どんなお客さんに売ったらより高い金額になるのかは、あくまでも不動産の性質次第なのですが、高い金額で売却できる方法を提案してもらってください。
また、不動産は独自性の強いものです。
同じ地域に所在していても、道路の状況や土地の面積・形で、需要が全く異なります。
同じような場所に所在していても、希少性が高い不動産もあります。
不動産の潜在的な価値を見極めて、より高く売ることも仲介業者の大切な仕事です。
繰り返しになりますが、より高い価格で売却できる方法を、担当者から提案してもらってください。
担当者の実績を確認すること
実績を確認するときは、おおよそで問題ないので、「過去の売買の仲介件数」と、「年間の仲介件数」を聞いてみてください。
当然ですが、経験値が多ければ多いほど、最適な売却方法についての知識や、売却時の税制についての知識、調査についての知識が、担当者の頭の中に蓄積されます。
経験値の高い担当者に担当してもらうことは、売主さんにとって、非常に大きな利益です。
一般的には、業界での職歴が長ければ長いほど、経験値が高くなります。
ただ、職歴が長くても、経験値が低い人もいますので、具体的な数字で過去の実績を確認したほうが良いです。
数字は嘘をつきません。
担当者の人柄について
感覚的な話になりますが、「なんとなくイヤだな」とか、「あまり信用できそうにないな」と感じてしまう担当者に依頼はしないほうが良いです。
不動産の取引は、短くても3カ月、長くなると1年にも及びます。
担当者とは、長い時間、連絡を取り合います。直接会う機会も、何回もあります。
誰でもそうですが、なんとなくでも不快感を持っている人には会いたくないですよね?
はじめて対面した時の直感は、意外と当たっているものです。
のちのち後悔しないように、担当者を選んでください。
不動産会社は1社のみを選ぶ必要はありません
不動産会社へ売却を依頼するとき、一社のみを選ぶ必要はありません。
不動産会社に売却を依頼するとき、依頼者と不動産会社との間で媒介契約を取り交わします。
媒介契約には「一般媒介契約」・「専任媒介契約」・「専属専任媒介契約」の3種類があり、
専任媒介契約と専属専任媒介契約は一社のみにしか依頼できない契約ですが、
一般媒介契約は二社以上の複数の不動産会社へ同時に依頼できる契約です。
複数の不動産会社へ相談した結果、どの不動産会社も決め手に欠けると感じた場合は、一般媒介契約で二社以上の不動産会社へ依頼することもできます。
必ずしも、一社に決める必要はありません。
まとめ
今回は、不動産業者と、不動産業者の担当者の選び方について説明しました。
不動産業界は、担当者の実力の格差が大きくある業界です。
大手の会社であっても実績の少ない担当者に依頼しては良い結果になることはありません。
それであれば、中小企業の実績のある担当者にお願いしたほうが良い結果につながります。
会社単位で選ぶことも重要ですが、担当者単位で選ぶことをおすすめします。
過去の実績の豊富な担当者へ売却を依頼してください。