「媒介契約って、なに?」
はじめての不動産売却では、様々な言葉が登場します。
媒介契約とは、不動産の売却を不動産会社へ依頼する際に、依頼者が不動産会社と取り交わす契約のことです。
媒介契約には3種類あり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
こちらの記事では、媒介契約の種類や、それぞれのメリット・デメリット、媒介契約の選び方などを詳しく説明しました。
媒介契約を選ぶときの参考にしてください。
この記事を読んでいただくと、こんなことが分かります。
・3つの媒介契約の違い
・媒介契約の選び方
・囲い込みとは?
目次
■不動産を売却するときの媒介契約とは?
■媒介契約の種類とは?
・専任媒介契約のメリット・デメリットは?
・専属専任媒介契約とメリット・デメリットは?
・一般媒介契約とメリット・デメリットは?
■3つの媒介契約の選び方は?
■専任媒介契約のリスクである「囲い込み」とは?
■まとめ
不動産を売却するときの媒介契約とは?
媒介契約とは、不動産を売却するときに依頼者が不動産会社と締結する契約のことです。
中には自分で購入希望者を探したいという人もいらっしゃいますが、購入希望者は不動産会社に探してもらうことが一般的です。
そんなときに不動産会社と取り交わすのが媒介契約になります。
媒介契約の種類とは?
媒介契約には「一般媒介契約」・「専任媒介契約」・「専属専任媒介契約」の3種類があります。
不動産会社へ依頼する際に、依頼者はこの3種類の中から媒介契約を選ぶことになります。
どの種類の媒介契約を選ぶかで、その後の売却がうまくいくかどうか左右されることもあります。
すごく重要な選択です。
それぞれの媒介契約の内容を理解してもらって、ご自身の状況に合った契約をしてください。
決して不動産業者の言いなりになって、媒介契約を結ばないように注意してください。
それでは、媒介契約の種類について説明したいと思います。全部で3種類です。
専任媒介契約とメリット・デメリットは?
売却を1社の不動産屋にのみ依頼する契約です。
他の不動産会社に重ねて売却依頼することができません。
つまり、売却の際の窓口はひとつの不動産屋に限定されます。
不動産会社は、この契約を締結した日から7日以内に、レインズ(不動産業者しか閲覧できない不動産情報のサイトです)に物件情報を登録して、他の不動産業者も情報を閲覧できるようにしなければいけません。
レインズに登録することで、他の不動産会社とも物件情報を共有し、購入希望者へ情報を拡散する目的があります。
また、販売活動についての報告を、2週間に1度以上の頻度で、不動産会社から売主にする義務があります。
現状の販売状況を売主が把握するのに役立ちます。
売主が自分で見つけてきた買主さんがいる場合、不動産会社を仲介に入れて契約をする必要はありません。
契約期間は最長で3ヶ月で、これ以上の長さの契約期間を設定することは法律上できません。
専任媒介契約のメリットは、
・不動産会社に2週間に一度の販売状況の報告義務があるため、販売状況を具体的に確認でき、今後の対応について、検討できる。
・不動産会社にとって将来の売主から頂戴する報酬が期待できるため、一般媒介契約の物件に比べて、積極的に広告費用をかけるなどの販売活動ができる。
デメリットは、
・1社のみが窓口になるため、担当者の実力次第では、売買の結果に大きな差が出る。
・囲い込みをされるリスクがある。(こちらについては、のちほど具体的に説明します)
です。
専属専任媒介契約とメリット・デメリットは?
先ほどの専任媒介契約よりもさらに制限が強い契約です。
もちろんひとつの不動産屋のみが窓口となります。
レインズへの登録は媒介契約を締結してから5日以内で、販売状況の報告は1週間に1度以上の頻度になります。
専任媒介契約では自分で見つけた買主と契約をする場合、不動産会社を通す必要はありませんでしたが、専属専任契約では、自分で見つけた買主でも不動産会社を通す必要があります。
つまり、専属専任媒介契約では、自分で購入者を見つけた場合でも、仲介手数料がかかります。
それ以外の部分に関しては、専任媒介契約と同じ内容です。
専属専任媒介契約のメリット・デメリットは専任媒介契約とほとんど同じですが、
売主が買主を自分で発見した場合にも不動産会社に仲介手数料の支払い義務があることが挙げられます。
一般媒介契約とメリット・デメリットは?
複数の不動産会社に同時に依頼をすることができる契約で、自分で見つけてきた買主とも不動産会社を通さず直接契約することができます。
ただし、不動産会社にとってはレインズへの登録の義務はありません。
また、販売状況の報告の義務もありません。
物件情報をレインズで拡散することができず、販売状況についても不動産会社へ問い合わせる必要があります。
契約期間は基本的には3カ月以内になりますが、特約で契約満了時に自動更新することもできます。
一般媒介契約のメリットは、
・売主は複数の不動産会社に並行して売却依頼ができるため、見込み客の幅が広がる。
・並行して依頼された複数の不動産業者同士の競争意識が働き、営業活動が積極的になる。
デメリットは、
・不動産会社には販売状況の報告義務がないため、どのような状況になっているのか、確認できない。
・将来の報酬が保証されていないため、不動産会社は積極的に広告費用をかけるなどの販売活動がしづらい。
・レインズへの登録義務がないため、物件情報が他の不動産会社へ共有されづらい。
です。
3つの媒介契約の選び方は?
それで、「結局どれを選べば一番いいの?」ということになると思うのですが、
私のお勧めは、
(専属)専任媒介契約に向いている売主は、
・信頼できる不動産会社の担当者に出会えた人
・慣れないことなので、お任せしたい人
・仕事の都合等の理由で、複数の不動産会社とやり取りをする時間が取れない人
・販売状況について詳しく報告書をもらいたい人
です。
一般媒介契約に向いている売主は、
・複数の不動産会社と連絡を取る手間を考えても、積極的に不動産売買に関わりたい人
・どの不動産業者の担当者も、信頼に欠けると感じた人
これが私のお勧めの選び方です。
3つの媒介契約では、一般媒介契約→専任媒介契約→専属専任契約の順で、不動産会社一社への依存度が高くなっていきます。
専任媒介契約や専属媒介契約の場合には依頼をする不動産会社が一社に絞られますから当然です。
万が一、(専属)専任媒介契約を締結した不動産会社が物件の情報拡散のための広告を行っていなかったりすると、その情報が存在することが誰の目にも止まらず、成約することができなくなります。
(専属)専任媒介契約を締結する場合は信頼できると感じた不動産会社と行うようにしてください。
専任媒介契約のリスクである「囲い込み」とは?
(専属)専任媒介契約のデメリットを説明する際に、「囲い込みのリスクがある」ということをお伝えしました。
囲い込みとは、売主から売却依頼を頂戴した不動産会社が、他の不動産会社から仲介に入られないように囲い込む、妨害行為です。
レインズなどのサイトで物件情報を見た他の不動産会社が売主の物件に問い合わせをしても、売主側の仲介業者は「この物件は商談中です」とか「申し込みが入りました」などの嘘をつき、他の不動産会社が買主を仲介することを妨害するのが、囲い込みです。
つまり、物件情報が他の不動産会社に一切オープンにされなくなってしまいます。
囲い込みをされると、他の不動産会社からの見込み客の紹介が一切なくなります。
これでは、いつまで経っても契約をしたいというお客様が現れません。
囲い込みは法律でも禁止されている、れっきとした違法行為です。
(専属)専任媒介契約を締結した不動産会社の多くは、さらに両手取引を狙います。
不動産業者が頂戴する仲介手数料は、成約時にのみもらえる成果報酬です。
一社のみで売主・買主を仲介した時は両手取引と言い、一社がそれぞれ、売主・買主から仲介手数料をいただけます。
一方、不動産業者二社が仲介した場合は、一社は売主、もう一社は買主から仲介手数料を頂戴します。これを片手取引と言います。
不動産会社にとっては、片手取引でも両手取引でも仕事量はほとんど変わりません。
自社のみで契約が成立すれば手間はほぼ同じですが、利益は2倍です。
会社である以上は利益を最大化しようとするのは当然のことですし、問題なく契約に至れば、売主の利益にも繋がるので、ここまでは全く問題のない内容です。
ですが、囲い込みをしているとなると、話は別です。
囲い込みは売主にとって不利益きわまりない行為です。
売主の利益を最大化するのが仲介業務です。
囲い込みは本末転倒な迷惑行為です。
「本当にこんなことがあるの?」と、思うかもしれませんが、一定数の営業担当者がこの手法を使っています。
私も紹介させてもらえなかったことが何回もあります。
会社の方針として囲い込みをしているというよりも、担当者単位で囲い込みを行っているような印象です。
私の感覚では誰もが知っている大手の不動産会社に多い印象です。
新潟市でも「この業者は囲い込みしているよね」という業者があります。
おそらく給与体系が歩合か、営業ノルマが厳しいのでしょう。
現在、販売活動中で、なかなかうまくいっていないという人がいらっしゃいましたら、ひょっとしたらこの囲い込みをされているかもしれません。
1度確認をすることをお勧めします。
「でもどうやって確認すればいいの?」と思うかもしれませんが、簡単です。
他の不動産会社のふりをして物件の問い合わせの電話をすると、一発でわかります。
電話したのがわかってしまうのが不安だと思いますが、ひとりひとりの電話番号を事務所の固定電話に登録していることは考えづらいです。
どうしても不安なようでしたら、他の誰かの携帯電話から電話するようにしてみて下さい。囲い込みをされているようでしたら、媒介契約を解除することをお勧めします。
このように両手取引のみを狙っている担当者と専任媒介契約を結んでしまうと、物件の成約に至る時期が遅れてしまったり、最悪の場合には、より低い金額で成約になってしまう恐れがあります。
積極的に販売に関わっても手間を感じない人や、どの不動産会社の担当者も信用に欠けると思った人は、一般媒介契約で数社の不動産業者を窓口にしてオープンな状態で、さまざまな不動産業者のお客さんを広く紹介してもらったほうが良いと、私は思っています。
ただ、仕事などの時間の都合等で一社に窓口をお願いしたい場合や、不動産のことはやっぱりよくわからないからプロにお任せをしたいという人もいると思います。
そういう時は、担当者に「囲い込み」の事実がないかどうか、担当者に確認しましょう。
担当者はそんな言葉を売主から聞いたら、勉強をしている人だと思って驚くでしょう。
そういった事実があったとしても、正直に話をすることはないとは思いますが、反応がちょっと怪しいなと思ったら、その担当者には専任で任せないほうが無難です。
ちなみに私は、囲い込みをしません。
弊社で囲い込みをしている人もいません。神に誓ってやっていません。
まとめ
売却を依頼する不動産会社との契約が媒介契約です。
3種類の媒介契約があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、
選び方は「信用できる担当者と出会えた場合は(専属)専任媒介契約」
「どの不動産会社も信用にかける場合は一般媒介契約」で問題ないです。
また、「はじめてのことで慣れないことだから」という理由で(専属)専任媒介契約を結ぶ場合は「囲い込みしないでね」と担当者へ伝えましょう。
びっくりすると思いますよ。
不動産会社・担当者の選び方について詳しく解説した記事を、リンク先に用意しました。
ご興味がある人はご覧になってください。