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不動産活用情報

今回は不動産を売却するときの方法である「仲介」と「買い取り」について説明します。

不動産の売却の方法には、「仲介」と「買い取り」の2つの方法があります。
この「仲介」と「買い取り」を混合されている人が多いなと感じることがあります。

不動産を売却することに変わりはないことから、双子の兄弟のように、似たようなものだと思っている人もいらっしゃるようですが、この2つの方法は、赤の他人のように全く違う方法です。

どちらの方法を選ぶかによって、お手元に残すことができる金額に相当の差が出てきます。

2つの方法にはどのような違いがあるのかをしっかり把握した上で選んでいただきたいと思います。

こちらの記事を読んでいただくと・・・

  • 「仲介」と「買い取り」とは何か?
  • 「仲介」と「買い取り」は何が違うのか?
  • 買い取りのときの不動産屋の利益の考え方とは?
  • 「仲介」と「買い取り」のメリット・デメリットとは?
  • 「仲介」と「買い取り」は結局どちらのほうが良いのか?
  • 全ての買い取りが悪ではない

以上のことについて、説明しています。

「仲介」と「買い取り」とは何か?

「仲介」と「買い取り」。どう違うのでしょうか?一言で説明をすると……
「不動産業者が買いたい人を探して、売る人と買う人の間に入ることが仲介」
「不動産業者が間に入るのではなく、購入者そのものになるのが買い取り」

言葉で説明をすると、大した違いはなさそうです。
違いがわかりやすいように、「仲介」と「買い取り」の2つの流れを追ってみましょう。

仲介

  • 売りたい人から不動産業者へ、売却の査定依頼があります。
  • 不動産業者はどのくらいの金額で売れるのか査定をします。
  • 売りたい人は査定の内容を参考にしながら、売り出し価格と媒介依頼をする不動産業者を決めます。
  • 媒介契約の締結後、不動産業者は購入希望者を探すための広告・営業活動をします。
  • 購入希望者がいたら、契約書類の作成・手続き・引き渡しをします。

買取

  • 売りたい人から不動産業者へ、買い取りの査定依頼があります。
  • 不動産業者はどのくらいの金額で買い取ると、どのくらいの利益が出るのか計算します。
  • 売りたい人の事情を考慮しながら、買い取りの査定金額を提示します。
  • 金額面でお互いが納得すれば買い取りが成立し、手続き・引き渡しとなります。

「仲介」と「買い取り」は何が違うのか?

ここまで「仲介」と「買い取り」の流れを説明しましたが、違いはわかりましたか?

違いの結論をお伝えすると、「仲介」と「買い取り」には細かい違いはありますが、
売主さんにとって影響が大きい違いは、不動産業者の「金額の出し方」です。

不動産業者が査定をするときに最も重要視するのは、
「査定物件と似たような条件の不動産が過去にどのくらいの金額で売却されているか?」

つまり、過去の取引事例です。

仲介の場合、査定金額として提示される金額は、
過去の取引事例を参考にしながら、
「まだ会ったこともない将来の買主さんがどのくらいの金額であれば購入するか」を、
不動産業者の担当者が検討した結果です。

取引事例という客観的なデータを基にした、いわゆる「相場」の金額を査定金額として提示しているわけです。

それに対して、買い取りの場合、査定金額として提示される金額は、
取引事例のような客観的なデータというよりも、「その不動産を買い取ることで、
どのくらいの利益が出るのか」という買い取る側の利益を重視した金額です。

つまり客観的な金額ではなく、主観で算出した金額というわけです。

以前に聞いたウソのようなホントの話なのですが、新潟市東区に取引事例で600万円前後の土地があるのですが、ある不動産屋の買い取りの査定金額はなんと80万円だったそうです!

あまりにも低い査定金額だったことから売主さんも不信に思い、売却は他の不動産屋にお願いしたようですが、「利益」という自社の都合から考えていく買い取りの査定方法だと、とんでもなく低い査定金額を提示されることもありえるということです。

買取のときの不動産屋の利益の考え方とは?

買い取りの場合の具体的な利益の金額は、

転売時の価格 - 買い取り時の金額 = 不動産屋の利益

で計算できます。

 

実際には税金などの諸経費も考えなくてはいけませんが、わかりやすいように割愛します。

不動産屋は買い取った不動産をさらに転売することで利益を出します。

そのまま所有して賃料収入などを得ることは稀なケースです。
土地やきれいな中古物件の場合は、ほとんどそのままの状態で、中古の建物の場合には、きれいにリフォームして一般のお客さん向けに再販売をします。

上の方程式の「転売時の価格」は一般のお客様に販売するときの価格です。

そのため、転売価格を設定するときには、相場を無視することができません。

「仲介」のときの査定金額のように、過去の取引事例から「大体どのくらいの金額で売れそうなのか」を事前に把握しておきます。

一方で、「買い取り時の金額」には相場もなく、下限もありません。

不動産屋からすると、転売時の価格は、どんなに頑張っても上限金額があることから、利益を大きくするために、できるだけ低い金額で買い取りたいと考えます。

できるだけ低い金額で買い取るために、

・「なぜ売るのか?(お金に困っているのではないか?)」
・「いつまでに売りたいのか?(すぐに手元に現金がほしいのか?)」
・「他の不動産屋にも声をかけているか?(低い査定金額でも納得してもらえそうか?)」

など、売主さんの事情を考慮しながら、事情に合わせた査定を行うことになります。

買い取りを行っている不動産屋の中には、「査定金額で買い取れないのであれば、買い取れなくても仕方ない」くらいの感じで、低い金額を提示する会社もあります。

ただし、最近では買い取りの競争も激しくなっていますので、とんでもなく低い金額を提示する不動産業者もあまりいないのではないかと思います。

また、これはどこの不動産業者でもそうだとは思いますが、
買い取り・再販売で将来的に見込んでいる利益は、粗利で最終価格の2~3割くらいだとお考え下さい。

逆に言うと、仲介で売るときと買取で売るときの金額差は、最低でも2~3割あるということです。

最終価格が1000万円だとすると、買い取り価格は700~800万円くらいだと予測できます。
もっと低くなることもあります。

このように、不動産屋にとって「買い取り」は「仲介」よりも儲かる話です。

仲介で売る場合で比較すると、1000万円の物件を両手取引したときに不動産業者がもらえる仲介料は約78万円です。
片手取引になった場合は、その半額の約39万円です。
(両手取引は、売主さんと買主さんをひとつの不動産業者が仲介するため、両方から手数料をもらいます。
片手取引は、売主さんと買主さんを2社の不動産業者が仲介するため、片方から手数料をもらいます。)

「買い取り」のときの利益が最終価格の2~3割以上と考えると、最終の転売価格が1000万円の不動産の場合、200万円以上の利益が不動産屋に入ります。
これが買い取りです。「仲介」よりも確実に多くの利益を見込めます。

不動産業者サイドは、このようなさまざまな思惑を持っている可能性もあることから、不動産業者に自社での買い取りを提案されたら、1度冷静にご自身の不動産の価値を見直すべきだと思います。

「仲介」と「買い取り」のメリット・デメリットとは?

ここまでほとんど買い取りの悪い部分ばかりを書いてきたような感じになってしまいました。
ですが、買い取りにも、もちろん良い点があります。
「仲介」と「買い取り」のメリット・デメリットを順番に説明していきます。
まずは仲介のメリット・デメリットについて。

仲介のメリット

  • 買い取りよりも高い金額で売却できる可能性がとても高い。
  • 不動産の売却についての様々な提案や助言をもらえる。
    これは私の持論ですが、仲介で不動産を売却するときの不動産業者の役目は「できるだけ高く、できるだけ安全に売却するために売主さんのサポートをすること」だと思っています。そのために必要な助言や提案は、仲介業務に含まれていると思っています。この部分の役目がなければ不動産業者は、ほとんど価値がない存在だと思っています。

仲介のデメリット

  • 仲介手数料がかかる。
  • 売却まで相当の時間がかかる。
    媒介依頼をもらってから広告・販売活動に取り掛かるため、いつ売れるかの目処が立ちづらいです。

次に買い取りのメリット・デメリットについて。

買取のメリット

  • 現金化までの時間が短い。
    買い取りの査定の価格で双方が納得すれば、契約手続きまでスムーズに執り行われます。仲介に比べると、手元に現金が入るまでの時間は短くなります。借金の返済など、決まった期日までにまとまった現金が必要な人にとっては、ありがたいサービスです。
  • リフォーム費用を負担しなくても売却できる。
    これは、古い売り家やマンションを売却する場合です。新潟のお客さんは、新築信仰がすごく強いです。「中古の住宅を割安で購入して、自分でリノベーションする」という文化がほとんどありません。中古物件の場合でも、きれいにリフォームがされている物件を見学して、購入の判断をするお客さんが圧倒的多数です。中古の住宅を売却する場合、売主さんがリフォーム費用を捻出して(リスクをとって)、売却活動をすることが通常の流れですが、買い取りではそのような費用を負担するリスクがありません。
  • 一般のお客さんが購入できない物件でも買ってくれる。
    世の中には一般のお客さんが購入できないような物件があります。それは、銀行の融資対象にならない物件です。住宅を購入するとき、ほとんどの人は住宅ローンを利用して購入しますが、銀行にとって担保価値がない物件だと、そもそもお金の用意ができません。どんな物件かというと「建築基準法上の道路に面していない、再建築不可の物件」や「地上権(他人がその土地に建物を建築できる権利)が設定されている物件」などです。金額はとても安くなってしまいますが、このような条件が付いていても、不動産業者によっては購入してくれます。

買取のデメリット

  • 仲介で売却するときよりも、手元に残る金額が下がる可能性がとても高い。
    前にも説明したように、この一点に尽きると思います。

以上が買い取りのときのメリットとデメリットではないかと私は思います。
メリットには他にも「売却を近隣や周囲の人に知られる可能性が低い」や「契約不適合責任が免責になる(引き渡し後に物件に隠れた欠陥があっても責任を負わなくて良い)」などが考えられますが、これらのメリットは仲介での売却でも実現が可能です。
明確なメリットにはなりづらいのではないかと思います。

「仲介」と「買い取り」は結局どちらのほうが良いの?

ここまで仲介と買い取りのそれぞれの特徴やメリット・デメリット、不動産屋にとってのメリットについて話をしてきました。
最後に「結局どちらのほうがよいのか?」について話をします。

これはあくまで私の考えですが、

  • まとまったお金を決まった日時までに現金化しなければいけなく、仲介料を払いたくない人は、
    金額は下がりますが、「買い取り」をしている不動産屋まで直接相談されたほうが良いと思います。
  • それ以外のケースでは早期の買い取りを希望している場合でも、信頼できる不動産屋に仲介に入ってもらい、買い取り業者へ話をしてもらったほうがベターだと思います。(仲介料はかかりますが・・。)

なぜ、仲介料がかかってでも仲介に入ってもらったほうが良いかと言うと、不動産の実務に慣れていない人が、不動産屋と直接交渉することは難しい作業だからです。

前にも話をしたように、不動産の購入・売却は人生に1度あるかないかの大きな出来事です。

買い取り業者は、利益をできるだけたくさん出すために、できるだけ安く購入したいと考えています。

買い取りの際には、買い取り業者との金額面での交渉が必要になりますが、その交渉には、周辺の相場を正確に把握したり、どのような土地なのかを正確に知る必要があります。

 

不動産業者は業務として不動産業を行っています。
そんな不動産業者と売主さんとの情報量の差は歴然です。

仲介に不動産屋に入ってもらうことで、買取でもより高く売却できる可能性があります。
「餅は餅屋」のように、不動産屋との交渉は不動産屋に任せるのが一番と言えると思います。

ただし、仲介料がかかるため、金銭面で余裕がない方にはお勧めできない方法ではあります。

全ての買取が悪ではありません

仲介と買い取りのメリット・デメリットを説明しました。
不動産屋の担当者にも色々な人がいますが、基本的に買い取りの場合には、「できるだけ安く買いたい」と誰もが考えているでしょう。

売主さんが経済的な事情などで早期に売却を希望している場合、買い取りはありがたいことですが、それ以外の方にとっては、買い取りはワルモノのように感じるかもしれません。

本来、売主さんに入るはずだった利益が買い取り業者にスライドして入っているわけですから、そのように感じても当然です。

そんな買い取りですが、悪い部分だけではありません。

建築業者(特に建て売り業者)が購入者になる場合、個人のお客さんにご購入いただくよりも、
金額が高額になることがあります。

建築会社に購入してもらうと、個人のお客様に売却するときよりも高額になる土地があります

どんなときに高額での買い取りになるかというと、

一般のお客さんの需要に合わないような、大きすぎる土地を売る場合です。

どういうことか説明すると、例えば、50坪の土地の総額の相場が1000万円(坪20万円)の地域があるとします。

この地域で80坪の土地を売るとき、売主さんは単純計算で 20万円×80坪=1600万円 という計算式で考えがちです。

ですが、実際には1600万円で個人のお客さんへ売却できることはほとんどありません。

大きすぎる土地は需要がないからです。
不動産の価格は、需要と供給のバランスで決まります。
需要が低い土地は、当然ですが価格が下がります。

大きすぎる土地は、総額が膨らんでしまうだけで、住宅全体の予算を圧迫してしまいます。
最近の個人のお客さんだと、40坪から50坪くらいで土地を探すことが多いです。
なかには、広い庭が欲しいという方もいらっしゃいますが、本当にまれです。

このような理由から、坪単価×面積の計算式が、大きすぎる土地では当てはまらないことが多いです。

大きな土地の価格は50坪くらいの標準的な土地の総額の相場に引っ張られることが多いことから、総額はずるずる下がります。結果的に坪単価も下がります。

上のような地域の場合、80坪の土地の総額はおそらく1300~1400万円になるのではないかと思います。

 

ですが、大きな土地で、間口(道路と接している部分)が広く、2つ以上に分割できる土地を売る場合には、80坪の土地でも、坪単価を50坪くらいの土地の目安に保つことも可能です。

つまり、個人のお客さんに売るよりも、建築業者に買ってもらったほうが高く売れます。

1点注意が必要なのですが、ここで言う業者とは、「不動産業者」ではなく、「建築業者」です。

不動産業者はいわゆる土地を転がすことで利益を出します。
なかには、開発をする業者ももちろんありますが、少数です。

開発をしない業者は、買い取った土地をそのまま売却することで利益を出します。
つまり、安く買わなければ、利益を出せません。

一方、建築業者は建て売り住宅や注文住宅を建築することで、利益を出します。
建物で利益を出せれば問題がないため、土地で利益を出す必要がありません。

大きい土地は2つ以上に割って、建売住宅を建築したり、建築条件付の土地として売却します。
先ほどの例の土地の場合、80坪の1つの土地を2つに割って、2つの40坪の土地を作ります。

どういうことかと言うと、40坪の土地の坪単価(20万円)を80坪の土地に適用できます。

これが大きな金額の違いを生み出します。

さきほどの80坪の土地を個人のお客さんに売った場合、総額が1300万円(坪16.2万円)に対して、建築業者へ売った場合、総額1600万円(坪単価20万円)です。

300万円の金額の差が出ます。大きな金額です。

実際には、水道の引込費用など、分譲時の経費の関係で若干金額が下がることもありますが、大きく下がることはあまりないです。

大きな土地で、ちょうど良く2つ以上に分割できるときは、一般のお客さんに売るより、建築会社に売ったほうが高く売れることがある

これは覚えておいて下さい。

ただ、「建築会社は建物で利益を出せば良い」とは言ったものの、できるだけ安く買いたいことは事実です。

また、建築会社の中には、「建築部門」と「不動産部門」がある会社もあり、両方の部門で利益を出したいと考えている会社もあります。

そのような会社だと、金額を叩かれることも多いですから、最終的には不動産屋に仲介してもらって、交渉してもらったほうが良いと思います。

まとめ

今回もかなり長い話になってしまいました。
お役に立てたでしょうか?

最近、いろいろな場所で「不動産の買い取り」の広告が多く見られますが、それは不動産屋にとって仲介よりも儲けに繋がるからです。
そして、「その割を食っているのは売主さん」だという事実が買い取りの現場にあります。

当社では買い取りを行っていないため、ご希望があってもできないのですが、買い取りを希望されている方は、そのような事実があることを肝に銘じておいて下さい。

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